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起業家の考え方のヒント

MJBLの奨学生であるイサ(Issa)が春休みに帰省した際、東京農業大学を離れて、タンザニアで大学院1年目の春学期と夏学期を過ごすことになるとは思ってもいませんでした。

 

COVID-19のパンデミックが世界中で猛威を振るうにつれ、海外渡航や入国審査の雲行きは怪しくなりそして完全に封鎖され、イサは東京に戻ってキャンパスの近くで授業を受けることができなくなったのです。

 

ただ幸いなことに、すべての授業はオンラインプラットフォームに移行したことで、イサは中断や遅延なく学習を続けることができました。また、日本への再入国が叶わなかった不測の事態の恩恵として、彼は故郷であるアルーシャ近郊の紅茶産業について、身近な現地調査を行うことができました。

しかし、イサは東京農業大学の学生であるだけでなく、起業家志望でもあり、すでに自身のビジネスを開始しています。農業の仕組みを学ぶ中で、彼は農産加工やタンザニアの観光業を軸にしたビジネスを展開していきたいと考えています。ビジネスを通じて、自分自身を支えるだけでなく、地域の人々に貴重な雇用の機会を提供していきたいと考えているのです

 

野心的な起業家として、成功するためにはどうすればいいのかについて、彼は自分なりの考えを持っています。恵まれない環境で育った彼は、タンザニアで過ごす時間を利用して公立学校を訪問し、同じような境遇の生徒たちに、自分のやりたいことをするためにはどうやって困難を乗り越えるべきかを話しました。日本での学生生活から起業家になるまでの道のりについて、彼が生徒たちに教えることはたくさんありましたが、ここではそのうちのいくつかを紹介します。

思い込みに疑問を持つ

「私は生徒たちに、自分たちが持っているあらゆる信念や文化に挑戦し、正しい質問をすることを学ぶように教えました。性別、肌の色、民族、宗教に関係なく、すべての人に機会の平等をもたらすためには、疑問を抱くべき文化的な信念や、社会的な教義が非常に多く存在します。さらに、なぜ不可能と言われていることがあるのか、なぜ私たちの状況はこうなのかなど、社会が設定した限界を問う最前線に立つべきだと思います。」

自己を理解する

「公立学校の教師は、生徒の数が多いために、生徒一人一人の可能性を把握することは難しいものです。そのため、生徒が自分のユニークな才能のうち、どの才能に伸ばす価値があるのかを見極めるための、基礎を与えることに集中したかったのですそれゆえ、生徒自身が自分は何者なのか、将来何になりたいのかを見極めることが重要になります 生徒たちは、自分が得意とすることは何か、その才能に社会がお金を出してくれるのかどうかを考えるべきです

謙虚であれ

「心を開いて、彼らの教師や他の生徒から学ぶよう奨励しました。教師や他の生徒は、自分が知らないことを知っている人たちであると考えることが大切だと私は思います。個人的な経験から言うと私は傲慢になるたびに、学びのための貴重な機会を失ってしまったことがあります。なぜなら傲慢さは、自分の知らないことは自分の知っていることほどの価値はないという思い込みから生まれるためです。」

SMART目標を持つ

「目標を定め、達成可能な小さな目標に分け、明確な期限を持つことで、人生を大きく変えることができると、彼らには教えました。目標を設定することで、自身の中に目指すべきものが生まれますし、目標を持つことによってこそ、重要な問題に集中することができるのです

イサにとって、彼の故郷の学生たちと話す機会は、彼に精神的な目的意識を与え、他者を鼓舞する機会を与え、自身が謙虚であり続けることを思い出させてくれることとなりました。彼のような若い起業家は、雇用の機会を通じて他者の人生を変え、地域社会を改善するだけでなく、仕事を成し遂げることで、他の人たちにも自分と同じことをしたいと思わせる力を持っています。